足首、足の痛み

代表的な足首、足の疾患

アキレス腱断裂

アキレス腱は体の中で一番太い腱で、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)と踵の骨をつないでいます。アキレス腱にはランニングやジョギングなどあらゆる足を使う運動で繰り返しストレス加わりますが、通常はそのストレスに対して柔軟に対応しています。しかし筋肉が収縮して腱が急激に伸ばされたとき、柔軟な対応ができず完全に切れてしますことがあります。これがアキレス腱断裂です。バレ-ボ-ルやテニスなどの球技で、踏み込んで次に前に出ようとしたときやジャンプに移ろうとしたときなどに発生します。
ケガをした瞬間に、何かでアキレス腱を殴られたような感じがするのが特徴です。アキレス腱が切れると歩けなくなると思われがちですが、ベタ足なら歩くことができます。しかし、つま先立ちはできません。治療には切れたアキレス腱を縫い合わせる手術が一般には必要になります。

外反母趾

足の親指が指のつけ根でくの字型に外側へ曲がり、つけ根が内側にとび出した状態を外反母趾といいます。
下駄や草履また足袋などをよく使っていた頃の日本人にはほとんど見られなかった変形ですが、靴や靴下の常用化また生活様式の洋風化とともに最近では外反母趾の人が増えてきています。外反母趾は男性には少なく女性に多くみられます。若い頃から変形がある人は遺伝性と考えられ、年齢とともに外反母趾の程度がひどくなる傾向がみられます。一般には中年以後によく発症しますが、年齢に伴う関節のゆるみや女性ホルモンが発生に関与していると考えられています。その他骨格的要素、扁平足、不適当な靴の使用、長時間の立位、関節炎などが外反母趾の原因とされていますが、実際はこれらの要素がいくつか重なって外反母趾が発生すると思われます。
外反母趾がひどくなると母指が他の指に重なることもありますし、他の指が下にまがる変形(槌趾)や、第5指が内側に向く変形(内反小趾)などもみられることがあります。

扁平足

扁平足(いわゆるベタ足)は土踏まずのアーチが低下している状態をいいます。生まれてから5歳頃までは筋肉や骨格が発達していないので扁平足は普通の状態です。そして成長とともに土踏まずは自然に形成され正常の足の形に発育しますが、アーチを作るのに重要な足の筋肉の発達が悪い場合や、生まれつき骨格に異常にある場合は扁平足になります。また若い頃は正常の足であった人でも加齢とともに筋力や靭帯が弱くなった結果土踏まずが次第に低下し、中年以後に扁平足が発生することもあります。
扁平足の人では長時間の起立や歩行、またスポーツにより足や下腿の痛みや倦怠感、疲労感がみられることが多く、肥満や妊娠により症状は悪化します。

足底腱膜炎(そくていけんまくえん)

踵の骨から足の指へと扇状に広がる足底腱膜が炎症を起こす病気です。50~60歳代の女性に多い病気ですが、男性でも歩きすぎたり長時間立ち続けていたりすると起こることがあります。朝起きた後や、長時間座っていた後の歩き始めの1歩目に、踵にずきんとする痛みが現れるのが特徴です。足部のストレッチや、足の指を鍛えることで予防します。

痛風(つうふう)

体内の尿酸値が高くなり関節炎を起こす病気です。症状として、関節に激烈な痛みが起こり、赤くはれたり、患部に熱感を持つ事があります。足の親指のつけ根によく見られます。痛風の痛みはとても強く、骨折の痛み以上とも言われています。痛みは3日前後続き、その後痛みが治まりますが、痛風を治療せずに放っておいても症状は改善されず、再発を繰り返します。痛風となり診察を受けた場合、尿酸値の検査をし、痛みをやわらげる薬が処方されます。ただし、薬を服用し痛みがなくなっても、お酒の飲み過ぎや食べすぎは体の中の尿酸値を増やす要因となるので注意が必要です。

代表的なスポーツ外傷

足関節捻挫

捻挫(ねんざ)とは関節のケガで、正常に動く範囲を超える外力が関節に加わり、関節を構成する骨と骨をつなぐ靱帯(じんたい)や、関節包(かんせつほう)と呼ばれる関節を包む膜に傷がついた状態をいいます。中でも、足首を内側にひねって起こる、内反捻挫(ないはんねんざ)は起こりやすいケガです。足関節捻挫は、バスケットボ-ルや、バレ-ボ-ルなどで着地に失敗したときや、サッカ-のプレ-中に足首を捻ったときなどに起こります。普段の生活でも、段差で躓いたときや、転倒したなどに起こります。

足関節捻挫は、損傷の程度で3段階に分類することがあります。

※関節を捻った際、ひどい時は骨折をしている場合もありますので、整形外科医を受診し、レントゲン撮影などの検査をしっかりと受けるようにしてください。

I度(軽症)
靭帯の繊維の一部が切れた場合で、痛みは軽く、関節はグラグラしません。
II度(中等症)
靭帯のかなりの部分が切れてしまっています。痛みがあり腫れてきて、内出血も強く、関節がグラグラして不安定になります。
III度(重症)
靭帯が完全に切れてしまっています。痛みがとても強く、腫れてきます。関節はグラグラして不安定になります。

肉離れ

肉離れは、筋肉の線維や筋肉を包む膜(筋膜)の一部が断裂する状態のことです。短距離走中やスタ-トダッシュで、太ももの裏側にがくんとする感じで激痛が走ったり、テニスで前に出ようとしてふくらはぎに激痛が発生したりしたときなどに起こります。つまり、何かにぶつかったりして起こるのではなく、自分で筋肉を急激に収縮した(力を入れた)ときに起こります。ケガをしたところを押すと痛みがあり、足に力を入れたり、無理に伸ばしたりすると痛みが強くなります。