骨粗鬆症外来

毎週木曜日 13:00~15:00(予約制)

Q「骨粗鬆症」って何?

骨粗鬆症は骨強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。日本では高齢化社会に伴い、骨粗鬆症の患者さんの数は増加しており、日本には1300万人以上の骨粗鬆症患者さんがいると推定されています。80歳代では女性の約半数、男性の2~3割が骨粗鬆症になっていると考えられています。また、新たな骨粗鬆症患者さんは年間100万人発生していると推定されています。

Q「骨の強さ」って何?

骨粗鬆症は骨の強さ(骨強度)が低下している状況ですが、骨強度は骨密度(70%)と骨質(30%)で決まります。

骨密度は主にカルシウムの量であり、当院で測定することができます。

骨密度測定器

一方、骨質は骨の細かな構造や骨の新陳代謝のバランスなどのことであり、直接測定することはできません。身体の中で骨は同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊れること(骨吸収)を繰り返しています。骨粗鬆症はこのバランスが崩れることで、骨がスカスカになり、骨の強度が低下して、骨折しやすくなっている状態です。そこで、当院では骨代謝マーカーを測定し、骨質の推定を行い、治療薬の選択や治療効果の判定に用いています。

Q 骨粗鬆症はどうやって診断するの?

骨粗鬆症は、骨密度と骨粗鬆症に特徴的な脆弱性骨折(ぜいじゃくせい)※1の有無によって診断されます。
骨密度は、超音波やエックス線、CTなどを用いて測定します。測定部位は背骨(脊椎)や太ももの付け根(大腿骨近位部)、手首(手関節)、踵(踵骨)、手の骨などが用いられますが、日本骨粗鬆症学会は、背骨(脊椎)と脚の付け根(大腿骨近位部)の2か所の測定を推奨しております。当院ではその2か所の測定を行い、骨粗鬆症の診断を行っております。

1.脆弱性骨折(骨粗鬆症性の骨折)がある場合
背骨(脊椎)や太ももの付け根(大腿骨近位部)の骨折があれば、骨密度に関係なく、骨粗鬆症と診断します。また、その他の脆弱性骨折があり、YAM※280%未満であれば骨粗鬆症と診断します。

2.脆弱性骨折(骨粗鬆症性の骨折)がない場合
YAM70%以下を骨粗鬆症と診断します。

※1 脆弱性骨折:転倒、もしくはそれ以下のわずかな外力で生じた骨折

※2 YAM:背骨(腰椎)の場合は20~44歳の健康な女性の骨密度を100%としたとき、自分の骨密度が何%であるかを比較した数値。太ももの付け根(大腿骨近位部)は20~29歳の骨密度を基準(100%)にします。

Q どうして骨粗鬆症になるの?

骨の強度が低下する主な原因は女性ホルモンの低下・加齢・生活習慣(病)の3つです。女性は閉経に伴い、女性ホルモンが足りなくなり、骨吸収が激しくなり、それを補う骨形成が追いつかなくなります。そのため、骨強度が低下します。加齢により、腸でのカルシウムの吸収が低下するので、骨量が減少します。

また、運動不足、喫煙や過度な飲酒、糖尿病や腎臓病といった生活習慣(病)も骨粗鬆症の原因となります。骨は負荷がかかるほど、骨を作る細胞が活発になります。しかし、運動不足や寝たきりによって骨への負荷が不足すると、骨を作る細胞の活動が弱くなり骨量が減少します。

Q 骨粗鬆症になるとどうなるの?

骨粗鬆症は骨折が起きなければとくに症状はないですが、骨粗鬆症が進行して、背骨の圧迫骨折がおこると背中や腰が丸くなる、身長が縮むといった症状が見られます。

Q 骨粗鬆症で骨折しやすい場所は?

骨粗鬆症性の骨折が起こる場所としては、背骨(椎体)、太ももの付け根(大腿骨近位部)、手首(前腕骨遠位部)、腕の付け根(上腕骨近位部)などがあります。
背骨が体の重みで押し潰されてしまうことを「圧迫骨折」と言い、背中や腰が曲がる原因となります。圧迫骨折が生じても、痛みを感じない場合や単なる腰痛として見過ごして、後から圧迫骨折と診断されることがあります(いつのまにか骨折)。しかし、1ヶ所骨折すると、その周囲の骨にも負担がかかり、次々と他の骨が折れる可能性が高くなるので、早期発見・早期治療が重要です。そのため、腰が痛い、身長が縮んできたなどがあれば、早めに整形外科を受診し、診察を受けて下さい。

Q 骨折するとどうなる?

どの場所も骨折により痛みや変形が生じますが、特に背骨(椎体)骨折や大腿骨近位部骨折により生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)が著しく低下します。現在、要支援・要介護認定の原因の約25%が運動器疾患であり、そのうちの半数の約12%は骨折が原因であると報告されています。
椎体骨折のために脊柱後弯(背中が丸くなる)になり、胃食道の逆流現象を引き起こしたり、脊柱の動きが悪くなって呼吸機能の低下が生じます。さらに椎体骨折は、一度発生するとほかの椎体の骨折を生じる可能性が4倍も高くなると言われており、骨折の連鎖を生じさせないようにすることが大切です。大腿骨骨折はQOLを約40%低下させ、さらに骨折すると1年以内に約10%の方が死亡すると報告されており、生命予後に大きな影響を与えます。

Q 骨粗鬆症の治療の目的は?

骨粗鬆症の治療の目的は骨粗鬆症性の骨折を防止することです。骨粗鬆症性骨折により身体機能が著しく低下するので、治療を行うことで骨の健康を保ち、骨折しにくいからだを一緒に作っていきましょう。