理学療法士 北岡孝雄
1年も終盤になり、寒さが垣間見えてきましたね。
しかし、日中の温かさは30度近くまで上がる事もあり、寒暖差が強くなってきました。
その中で体調管理に気を使う事も多くなってきたのではと思います。
今回は気温と身体の関係についてお話ししていこうと思います。
早速ですが、寒暖差疲労というものを聞いたことは有りますか?
1日の気温差や外気温と室内の温度差が大きいと起こりやすくなると言われており、外気温に合わせて体温を一定に保つ能力(自律神経)が必要以上に活発になり、結果的に過剰にエネルギーを消費し、身体に疲労が蓄積してしまう状態です。
症状としては、
頭痛・めまい・疲労感・食欲不振や自律神経の乱れによるイライラや気分の落ち込み
眠気・うつ症状が挙げられます。
発生しやすい時期としては
春や秋等の気温の変化が激しい時期・夏の暑い時期(エアコンなどで室内外の気温差が激しい時期)
中でも春・秋は朝晩の気温差が大きく、寒暖差疲労が起こりやすい時期です。
成人の平熱は36~37℃前半に保たれており、身体機能を守るために体温を一定にコントロールする「ホメオスタシス(恒常性)」の仕組みが備わっています。
ホメオスタシスがあることで、身体の外が変化していたとしても、体内の状態(体温・血液量・血液成分)等を一定に維持できるようになっています。
しかし、近年春や秋の気候の変化に伴い、そのため、体調を崩しやすくなり、体調不良や感染症にかかりやすい身体になってしまいます。
こういった事態を防ぐために、日ごろから出来る予防法に取り組みましょう。
予防法
1.運動
皆様、普段の運動量はどのくらいでしょうか?家に閉じこもっていませんか?運動量の目安としては60分程度の有酸素運動などが推奨されています。また、自転車では40分程度が推奨されています。外に出ることが難しいときは、ご自宅での足踏みや階段の昇り降りでも上記の運動量が補えます。(厚生労働省.運動ガイド2023)
スーパーに買い物に行くときに道順を少し遠回りするなど、普段の生活の中で歩く時間を増やしましょう。テレビを視聴していてもCMの間だけ足踏みをするなどの運動も有効です。
2.バランスのとれた食事
エネルギー源になるタンパク質や疲労回復効果のあるビタミンBは積極的に摂取しましょう。
ビタミンBは豚肉・魚・大豆・レバー・海苔・ほうれん草・落花生などに多く含まれます。
また、タンパク質は最近ではプロテイン等で取りやすくなっていますので、スーパーでのお買い物の際に検討して頂ければと思います。
3.良質な睡眠
自律神経と呼ばれる神経には交感神経・副交感神経があり、その二つの神経がバランスよく機能することで、活動的に動くことが出来て、身体の回復が図れます。しかし、寒暖差が大きいと自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になると、心拍数を上げ、末梢神経を収縮させて血圧を上昇させ、疲れやすい身体になってしまいます。
そこで、良質な睡眠をとり、副交感神経を優位にし、心身ともに疲労から回復させましょう。
睡眠については過去のブログ(24年5月号)にも記載していますので、ご参考下さい。
お風呂にゆっくり浸かると、副交感神経の働きが良くなります。
しかし、お風呂では「ヒートショック」という現象が起こりやすくなります。それに関しては当院の院内新聞(vol.150)に記載していますので是非一読下さい。
これから本格的に寒くなってきますが、気温に負けない身体づくりを心がける事で、体調不良も予防できます。ぜひ今回の予防策を実践していただき、寒暖差を乗り越えていきましょう!。
運動をしたくても身体の不調や痛みで上手く運動ができなかったり、歩行や階段の上り下りなど日常生活でのお困り事がありましたら、一度当院を受診して頂き、ご相談して頂ければと思います。