日本整形外科学会専門医 武部 健
骨粗鬆症は年齢とともに骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
その治療に昔から広く使われている基本的なお薬が「ビスホスホネート製剤」です。
今回は、この薬の働きや飲み方、種類の選び方をわかりやすくまとめました。
骨を守る仕組みとは?
骨は「骨芽細胞」と「破骨細胞」という2つの細胞によって、作られたり壊されたりを繰り返しています。骨粗鬆症では、骨を壊す破骨細胞の働きが強くなり、骨量が減り、骨折しやすくなってしまいます。
「ビスホスホネート製剤」はこの破骨細胞の働きを抑えることで、骨が壊れるのを抑え、骨量を保つ薬です。実際に、アレンドロネート(ボナロン)という薬では、大腿骨近位部骨折の発生率が53%も減少したというデータがあります。
飲み続けることが大切
ただし、薬の効果を得るには「継続すること」が重要です。ある調査では、ビスホスホネート製剤を始めた人のうち、1年以内に約半数が服薬をやめてしまっていました。そして、3年後には継続率が23%まで下がってしまいます。
そこで注目されているのが「服薬回数による継続率の違い」です。連日服用するタイプよりも、週1回や月1回の服用タイプのほうが継続しやすいことがわかっています。服薬回数が減ると、続けやすくなるのです。
選べる投与方法
現在では、さまざまなタイプ(週1回、月1回、年1回)のビスホスホネート製剤が登場しています。
さらに、嚥下(飲み込み)が難しい方のために「ゼリー製剤」や「注射製剤」も開発されています。立位・座位保持が困難な方や、飲む薬の数が多くて飲み忘れが心配な方には、注射製剤が有効です。
経口薬と注射薬の届き方の違い
飲み薬は、体の中に入ってもごく一部しか吸収されず(1%未満)、ほとんどがそのまま便として体の外に出ていきます。
一方、注射薬は体に吸収される量が多く、使われなかった分は尿として排泄されます。
つまり、注射のほうが薬がしっかり体に届きやすいという特徴があります。
注射と飲み薬は、続ければどちらも同じくらい効果が出る
「注射のほうが効くんですか?」と聞かれることがありますが、骨粗鬆症の治療薬では、内服と注射薬で骨密度の増え方に大きな差がないことがわかっています。
大切なのは、どちらの方法でも“きちんと続けること”です。
継続して使えば、注射でも飲み薬でもしっかり効果が期待できます。
まとめ:あなたに合った治療を選ぶために
骨粗鬆症の治療は「続けること」が何より大切です。ビスホスホネート製剤には、飲みやすさや生活スタイルに合わせた選択肢が増えています。医師と相談しながら、自分に合った投与方法を選び、骨折予防につなげていきましょう。