骨折リスクを見える化する「FRAX」とは? ~骨粗鬆症第6弾~|尼崎市の整形外科|武部整形外科リハビリテーション|耳鼻咽喉科、デイケア

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2026.4.20

骨折リスクを見える化する「FRAX」とは? ~骨粗鬆症第6弾~

日本整形外科学会専門医  武部 健

「骨密度はまだ大丈夫」と言われたのに、骨折してしまった——そんな経験はありませんか?
実は、骨折のリスクは骨密度だけでは判断できません。年齢や生活習慣、家族歴など、さまざまな要因が関係しています。そこで登場するのが、世界保健機構(WHO)が開発した骨折リスク評価ツール「FRAX(フラックス)」です。

今回は、骨粗鬆症の診断や治療の判断に役立つ「FRAX」について、紹介します。

【骨折する人が多いのは“骨量低下”の人たち】

骨粗鬆症は、骨の量が減ること(骨量低下)と、骨の質が悪くなることが重なって、骨がもろくなる病気です。ただし、骨密度が正常でも骨折してしまう人は少なくありません。
実際に骨折を起こしている人の多くは、まだ「骨粗鬆症」と診断される前の、骨密度が少し減り始めた段階(骨量低下)にいます。
つまり、骨密度の数字だけでは骨折の危険性を正確に判断できないということです。

【FRAXとは?】

FRAX(Fracture Risk Assessment Tool)は、WHOが開発した「骨折リスク評価ツール」です。
骨密度に加え、以下のような危険因子をもとに、その人の「10年間の骨折確率」を計算します。

・年齢
・性別
・体重・身長
・骨折歴
・両親の大腿骨近位部骨折歴
・喫煙
・ステロイド使用
・関節リウマチ
・続発性骨粗鬆症(糖尿病や腎疾患など)
・アルコール摂取量
・骨密度(大腿骨近位部)

FRAXは「骨折しやすい人は?」という問いに対して、科学的な根拠をもとに答えを導き出してくれるツールです。

【治療開始の目安にもなる】

FRAXは、薬物治療の開始基準にも使われています。
「FRAXによって10年間の骨折率(主要骨折)が15%以上」の場合、薬物治療が推奨されます。

主要骨折とは、大腿骨近位部、橈骨遠位端、上腕骨近位部、臨床椎体などの骨折を指します。

【FRAXは誰でも使える?】

FRAXは、現在63か国で利用されており、日本語版も公開されています。
対象は「女性75歳未満」 「男性」で、インターネット上で簡単に計算できます。

公式サイト:https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/

【まとめ】

骨折のリスクは、骨密度だけでは見えない部分がたくさんあります。
「FRAX」は、年齢や生活習慣などを含めた総合的なリスク評価を可能にし、治療の判断にも役立つツールです。

「骨折しやすい人は?」という問いに、数字で答えてくれるFRAX。
自分の骨の状態を知るための第一歩として、ぜひ活用してみてください。骨折予防は、早めの気づきから始まります。