日本整形外科学会専門医 武部 健
「最近、背が縮んだ気がする」「母が骨粗鬆症で…」
そんな何気ない会話の中に、骨粗鬆症のサインが隠れているかもしれません。骨粗鬆症は、骨密度の低下と骨質の劣化により骨強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。日本には1500万人以上の患者がいるとされており、気づかないうちに進行していることも少なくありません。
今回は「骨粗鬆症を疑うのはどんな時?」をテーマに、日常の会話から読み取れるヒントをご紹介します。
【年齢に関する会話】
「今年80歳になります」
「還暦のお祝いをしてもらいました」
加齢は骨粗鬆症の大きなリスク要因です。特に女性は閉経後に骨の量(骨密度)が急激に減少するため、50歳を過ぎたら一度検査を受けることが勧められます。
【家族に関する会話】
「母が骨粗鬆症です」
「親が大腿骨骨折をしました」
骨密度には遺伝の影響があり、70%影響するともいわれています。親が圧迫骨折や大腿骨の骨折などの骨粗鬆症性骨折を経験している場合、本人が骨折するリスクは約1.5倍、特に大腿骨近位部骨折のリスクは約2.3倍に高くなるというデータもあります。
【身長に関する会話】
「昔とくらべると背が縮んだ」
25歳時より4cm以上身長が低くなっている場合、椎体(せぼね)骨折の危険率は約3倍高くなることがわかっています。また、自己申告より実際に測った身長が3cm以上低い場合も、背骨の骨折が隠れている可能性があります。身長の変化は、骨折のサインかもしれません。
【日常生活に関する会話】
「たばこを二十歳の頃からずっと吸っている」という方は少なくありません。
たばこは腸でのカルシウム吸収を妨げ、尿からのカルシウム排泄を増やすため、骨が弱くなりやすくなります。
喫煙している人は、骨折のリスクが約1.3倍、特に大腿骨近位部の骨折は約1.8倍に高まることが分かっています。
「お酒が好きで、けっこう飲みます」という方も注意が必要です。
アルコールを多く飲むと、カルシウムの吸収が悪くなり、骨の代謝にも影響します。
1日に3単位以上の飲酒が続くと、骨粗しょう症による骨折リスクは約1.4倍、大腿骨近位部骨折は約1.7倍に上がると報告されています。 参考:1単位=ビール5度 500ml
【持病に関する会話】
「糖尿病でインスリン注射をしています」
「腎臓が悪くて塩分を控えています」
「リウマチでステロイドを飲んでいます」
病気や体の状態によっては「続発性骨粗鬆症」の原因となることがあります。持病がある方は、骨粗鬆症の検査を受けることで、骨折予防につながります。
【まとめ】
骨粗鬆症は、症状が出にくく気づきにくい病気です。しかし、日常の会話や体の変化に目を向けることで、早期発見のヒントが見えてきます。
「一度骨粗鬆症の検査をしてみましょう」
この一言が、あなたの骨と健康を守る第一歩になるかもしれません。気になるサインがあれば、ぜひ相談してみてください。