日本整形外科学会専門医 武部 健
「骨粗鬆症の薬って、どれも同じじゃないの?」
そんな疑問を持つ方も多いかもしれません。実は、骨粗鬆症の薬には種類があり、それぞれ働き方や効果が異なります。今回は「薬物治療」をテーマに、骨折予防と生活の質を守るための選択肢について、わかりやすくご紹介します。
【治療の目的は骨折予防と生活の質の維持】
骨粗鬆症とは、「骨密度の低下と骨質の劣化により、骨強度が低下し、骨折しやすい状態」です。
骨折が起こると、日常生活に支障が出たり、寝たきりになるリスクも高まります。
そのため、骨粗鬆症治療の目的は「骨粗鬆症性骨折を防止し、ADL(身の回りのことを自分で行う力)・QOL(その人らしく、快適に生活できる状態)の維持、向上を目指す」ことです。
【薬で骨折リスクはどれくらい下がる?】
骨粗鬆症の薬は、種類によって効果の出方が異なります。
たとえば、
- アレンドロネート(ボナロン):大腿骨近位部骨折を約半分に減らす
- リセドロネート(ベネット):背骨の骨折を4~5割ほど減らす
- ラロキシフェン(エビスタ):背骨の骨折を3~6割ほど減らす
- PTH製剤(フォルテオ・テリボン):背骨の骨折を最大6割以上減らす
このように、どの薬も骨折リスクをしっかり下げる効果があることが分かっています。
【薬物治療の開始基準】
薬を始めるタイミングは、骨折の有無や骨密度、家族歴などをもとに判断されます。
・脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折や椎体骨折)がある
・骨密度がYAMの70%以下
これらの条件に当てはまる場合、薬物治療が推奨されます。
【薬の種類と働き方】
骨粗鬆症の薬は、大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
① 骨吸収抑制薬(骨を壊す働きを抑える)
・ビスホスホネート(ボナロン、ボンビバなど)
・SERM(エビスタ、ビビアント)
・デノスマブ(プラリア)
② 骨形成促進薬(骨を作る働きを助ける)
・PTH製剤(フォルテオ、テリボン)
・ロモソズマブ(イベニティ):骨吸収抑制作用もあり
③ カルシウム吸収を助ける薬
・活性型ビタミンD(アルファロール、エディロール)
【投与方法もさまざま】
薬の投与方法も、内服・注射・点滴などさまざまです。
たとえば、ボナロンは週1回内服または月1回の注射、プラリアは6か月に1回の皮下注射、テリボンは週1回か週2回の皮下注射など、ライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
【まとめ】
骨粗鬆症の薬物治療は、骨折を防ぎ、生活の質を守るために大切な手段です。
「骨密度が低い」「骨折歴がある」「家族に骨粗鬆症の人がいる」など、気になる点があれば、医師に相談してみましょう。