スポーツ名のついた疾患シリーズ:第6回「野球肩(投球障害肩)」|尼崎市の整形外科|武部整形外科リハビリテーション|耳鼻咽喉科、デイケア

健康コラム TOPICS

2026.8.24

スポーツ名のついた疾患シリーズ:第6回「野球肩(投球障害肩)」

日本整形外科学会専門医 武部 健

野球やソフトボールを続けていて、投げる動作のたびに肩がズキッと痛む──。
尼崎市でも、部活動の学生や社会人野球を楽しむ方から「肩が思うように上がらない」「投げると痛みが走る」といった相談を受けることが多くあります。 特に成長期の選手では、練習量が増える時期に肩の痛みが出やすく、競技を続けられるか不安を抱えて来院されることも少なくありません。

結論として、野球肩は“投げすぎによる肩周囲の炎症や損傷”であり、早めのケアが競技復帰の近道です。 放置すると長期化しやすいため、痛みを感じた段階で対処することが大切です。

野球肩とは?

野球肩は、投球動作を繰り返すことで肩の筋肉・腱・関節に負担が蓄積し、炎症や損傷が起こる状態を指します。 医学的には「投球障害肩」と呼ばれ、肩の前方・上方・後方など、痛みの出る場所によって原因が異なるのが特徴です。

投球動作は、腕を大きく後ろに引く、一気に前へ振り出すという大きな可動域と強い力を必要とするため、肩の構造にとって負担の大きい動作です。

どんな症状が出るのか

・投げ始めに肩の前方がズキッと痛む
・ボールを強く投げると肩の奥が重だるい
・肩が上がりにくい、可動域が狭くなった
・投球後に肩の後方がジーンとする
・力が入りにくく、球速が落ちた

成長期の選手では、痛みを我慢して投げ続けることで悪化しやすく、早めの対処が重要です。

原因は“投げすぎ”と“フォームの乱れ”

野球肩の主な原因は、肩周囲の筋肉や腱に繰り返し負荷がかかることです。

・投球数が多い
・練習量の急激な増加
・肩周囲の筋力不足
・柔軟性の低下
・フォームの乱れ
・成長期のオーバーユース(使いすぎ)

特に、成長期では骨や筋肉が未成熟なため、負荷に耐えきれず痛みが出やすい傾向があります。

治療の基本は“炎症を抑え、肩の使い方を整えること”

まずは痛みの出る投球を控え、肩の炎症を落ち着かせることが大切です。

保存療法
・アイシング
・消炎鎮痛剤を使う
・肩周囲のストレッチ
・肩甲骨の可動域改善

リハビリテーション
・肩周囲の筋力強化
・肩甲骨の安定性トレーニング
・投球フォームの見直し
・体幹の安定性向上

肩は「肩甲骨の動き」「体幹の安定性」と密接に関わっているため、肩だけでなく全身の使い方を整えることが改善につながります。

注射治療
痛みが強い場合には、炎症を抑える注射が有効なことがあります。

放置するとどうなる?

・投球時の痛みが長期化する
・肩の可動域が狭くなる
・球速が落ちる
・競技復帰が遅れる
・慢性的な肩の不調が残る

特に学生では、試合前の練習量増加で悪化するケースが多く、早めの相談が重要です。

よくある質問(FAQ)

Q:自然に治りますか?
A: 軽症なら改善しますが、投げ続けると長期化しやすい疾患です。

Q:練習は続けてもいいですか?
A: 痛みが出ている時期は、肩に負荷のかかる投球や強い動作をいったん控え、炎症が落ち着くまで肩を休ませることが重要です。無理を続けると回復が長引きやすくなるため、症状が軽くなるまでは負荷を減らすことが改善への近道になります。

Q:成長期は特に注意が必要ですか?
A: はい。骨や筋肉が未成熟なため、オーバーユース(使いすぎ)で痛みが出やすい時期です。

成長期の選手や社会人で野球を続ける方にとって、肩の痛みは身近なスポーツ障害のひとつです。違和感が続く場合は、早めに整形外科で評価を受けることが改善への近道です。肩の痛みが気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。