スポーツ名のついた疾患を紹介するシリーズ:第3回「ランナー膝」|尼崎市の整形外科|武部整形外科リハビリテーション|耳鼻咽喉科、デイケア

健康コラム TOPICS

2026.7.27

スポーツ名のついた疾患を紹介するシリーズ:第3回「ランナー膝」

 日本整形外科学会専門医 武部 健

スポーツの名前がついた疾患には、競技の特徴がそのまま症状に反映されているものが多くあります。今回、紹介する「ランナー膝(ランナーズニー)」もその代表で、走る動作を繰り返すことで膝の外側に痛みが出る疾患です。マラソンやジョギングを楽しむ方が多い尼崎の河川敷や武庫川沿いでも、しばしば相談を受ける症状です。また、マラソンやジョギングだけでなく、サッカーやバスケットボールなど走る量の多い競技でもよくみられます。

ランナー膝の正式名称は 腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん) といいます。太ももの外側を走る腸脛靭帯が膝の外側でこすれ、炎症を起こすことで痛みが生じます。特に、長距離を走った後や、坂道・階段を使った練習の後に痛みが強くなることが多いのが特徴です。

痛みの場所は膝の外側が中心で、「走り始めは気にならないが、距離が伸びると痛くなる」「階段を下りるとズキッとする」といった訴えがよく聞かれます。放置すると痛みが強くなり、走れなくなることもあるため、早めの対処が大切です。

原因としては、

  • 走る量の急激な増加
  • O脚傾向
  • 硬い路面での長時間ランニング
  • シューズの摩耗
  • 太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)の緊張 などが挙げられます。特に、練習量を増やしたタイミングで発症するケースが多く、身体の準備が追いつかないまま負荷がかかることが一因となります。


治療はまず 炎症を抑えること が基本です。痛みが強い時期は無理に走らず、アイシングや消炎鎮痛剤の使用で炎症を落ち着かせます。その後、腸脛靭帯がこすれにくい状態をつくるために、太ももの外側やお尻の筋肉のストレッチ、体幹の安定性を高めるトレーニングを行います。シューズの見直しや、走るフォームの改善が効果的なこともあります。

再発予防には、練習量を急に増やさないことが重要です。特に尼崎では、武庫川沿いのランニング環境が整っているため距離を伸ばしやすいのですが、身体の回復と負荷のバランスを取りながら調整することが、長くスポーツを楽しむためのポイントになります。

走ることは手軽で健康にも良い運動ですが、膝の外側に違和感を覚えたら、早めにご相談いただくことで悪化を防ぐことができます。尼崎のランナーの方にも知っておいていただきたい、身近なスポーツ障害の一つです。