「杖を使っているのに歩きづらい…」「最近、杖が体に合っていない気がする…」そんな不安を感じたことはありませんか?|尼崎市の整形外科|武部整形外科リハビリテーション|耳鼻咽喉科、デイケア

健康コラム TOPICS

2026.6.26

「杖を使っているのに歩きづらい…」「最近、杖が体に合っていない気がする…」そんな不安を感じたことはありませんか?

理学療法士 江藤龍真

 

T字杖は、歩行を支える大切な道具です。しかし、持ち方や使い方を間違えると、逆に転倒の危険が高まったり、身体に負担がかかったりすることがあります。実際に、リハビリの現場でも「なんとなく使っている」という方は少なくありません。

特に多いのが、「杖をどちらの手で持つのか分からない」「高さが合っていない」「杖を引きずって歩いている」といったケースです。せっかく杖を使っていても、正しく使えなければ十分な効果が得られません。

では、正しいT字杖の使い方とはどのようなものなのでしょうか。

まず基本となるのが、杖を持つ手です。T字杖は「痛い方と反対の手」で持ちます。

例えば右足が痛い場合は左手で持ちます。これは、身体のバランスを保ち、右足への負担を減らすためです。

 

杖の長さはとても重要です。長さは、立った時に股関節の付け根の横側にある骨「大転子」の高さに合わせます。さらに、杖は足の約15cm前外側につくことで、安定した歩行につながります。

杖の握り方にもポイントがあります。人差し指と中指でシャフト(持ち手)を挟むように握り、親指を重ねることで安定感も増します。逆に、杖の先だけを握ってしまうと不安定になり危険です。肘は20°ほど軽く曲げるのが理想です。


歩く順番も覚えておきたい大切なポイントです。左足に痛みがある場合、右手にT字杖を持ちますが、平地では「杖→左足→右足」の順番で歩きます。階段を昇る時は「杖→右足→左足」、降りる時は「杖→左足→右足」となります。ややこしく感じる場合は、「上がるは天国(痛みがない足)、降りるは地獄(痛い足)」と覚えてください。この順番を守ることで、身体への負担を減らし、安全に移動しやすくなります。

 

一方で、杖がうまく使えていない人には共通点があります。「杖に体重をかけ過ぎている」「杖を引きずって歩く」「杖をつく位置が悪い」「杖の高さが合っていない」といった特徴です。こうした状態が続くと、歩き方が崩れ、肩や腰の痛みにつながることもあります。


意外と知られていませんが、T字杖が支えられる体重は約10〜20%程度とされています。また、先ゴムは1年〜1年半ほどが交換の目安です。先ゴムがすり減ると滑りやすくなり、転倒リスクが高まります。定期的な確認も大切です。

 

T字杖は、ただ持つだけではなく、「正しく使うこと」で初めて効果を発揮します。基本の持ち方や歩き方を見直すことで、毎日の歩行はより安全で楽になります。

「慣れているから大丈夫」と思わず、一度ご自身の使い方を確認してみませんか?小さな修正が、転倒予防や身体への負担軽減につながります。気になることがあれば、ぜひリハビリスタッフへご相談ください。